こんにちは。クジョーです。
今回は柞刈湯葉(いすかりゆば)先生によるSF小説『横浜駅SF』を紹介します。
設定がとても衝撃的な内容です。
<横浜駅が自己増殖能力を獲得し、本州の99%を覆い尽くした未来>
駅という誰にとっても身近なものをSFの舞台設定としているユニークな発想がとても評価されています。
設定だけだと「いまいちピンとこない」という方も多いはずなので、あらすじや事前情報を紹介します。
読んだ後きっと横浜駅へ聖地巡礼したくなります!
それではいってみましょう。
こんな人向き
✔︎科学技術が好き
✔︎冒険ものが好き
✔︎巨大構造物にワクワクする
『横浜駅SF』の概要
本作の魅力を語る前に、大まかなあらすじについて紹介させてください。
①没入必須のあらすじ

”改築工事を繰り返す“横浜駅”が、ついに自己増殖を開始した。
それから数百年―日本は本州の99%が横浜駅化した。
駅内で暮らす住人は脳に埋め込まれたSuikaで管理されている。
駅外側で暮らす非Suika住民の主人公ヒロトは、謎の男から5日間だけ駅内に入場できる『18きっぷ』を託された。
横浜駅でヒロトは一体何を見るのか。そして横浜駅が自己増殖した原因は一体何か。。横浜駅構内5日間400キロの旅が今はじまる”
自己増殖して日本を覆うまでに至った横浜駅が本作の舞台です。
横浜駅内を主人公ヒロトがさまざまな人やモノと出会いながら冒険し、横浜駅が自己増殖するに至った理由に迫るストーリーです。
私は”横浜駅が増殖し日本を覆う”というユニークすぎる設定に引き込まれて、一気読みしました。

こんな自由な発想ができるのが羨ましい、、
②個性豊かな登場人物
本作ではスポットの当たる登場人物は少ないです。ですがその一人一人個性的で癖のあるキャラクター設定であることも本作の魅力の一つです。
・三島ヒロト
本作の主人公。駅外の九十九段下で暮らしていたが、謎の男から『18きっぷ』を受け取り、エキナカの旅へ出る。
・謎の男
主人公ヒロトの住む九十九段下に辿り着いた元エキナカの住人。ヒロトに『18きっぷ』を託す。
・教授
元々エキナカに住んでおり、ある時に九十九段下に辿り着いた老人。横浜駅の構造に詳しく横浜駅の秘密に関わっていると思われる。
・二条ケイハ
謎の男が所属していた『キセル同盟』なるもののリーダー。技術オタクであり、普段からPCや機械をいじっている。機械いじりが怪しまれないように普段は電気屋を営んでいる。



私は二条ケイハの技術オタクな感じは結構好きです。
③登場するガジェット
普段電車利用の人には馴染みのあるものが、SF的機能が付与されて作中に登場します。
SFモノでありながらも身近なガジェットの登場には、思わずクスッとなります。
・『自動改札』
エキナカの治安維持管理を行う自動機械。エキナカを破壊しようとする対象を駅外へ追放する役目を担う。
・『Suika』
エキナカで暮らすために脳に埋め込むチップ。6歳を迎えるまでにSuikaを持っていなければ、駅外で追放される。Suikaを導入するためには大金が必要となる。
・『18きっぷ』
非Suica住民でも5日間だけエキナカに入ることができるきっぷ。
『横浜駅SF』の魅力
魅力はたくさんありますが、特に魅力に感じている部分を紹介します。
①誰もが利用する『駅』をSFの題材としてる点
SFが苦手な人に聞くとよく以下のコメントを受けます。
壮大すぎて没入できない
あまりにも非現実すぎ
などSF特有の壮大なスケール感があまりにも現実とかけ離れすぎて苦手な方が多い印象です。
その点本作は誰にでも身近な『駅』を舞台にしていることで、非現実でありながらも「実は起こりそう?」と思わせてくれる絶妙なバランス感が素晴らしいです。
②神は細部に宿る!細部まで練られた設定
先ほども説明した通り、本作ではエキナカの住人を管理する「Suika」や、5日間だけエキナカに入れる「18きっぷ」など親しみのあるガジェットが別の役割を与えられて登場しています。
ちなみに現実の「Suica」は「Super Urban Intelligent CArd(スーパー・アーバン・インテリジェント・カード)」が由来です。
「Suika」は駅を自由に出入りでき、「18きっぷ」は期間限定の入場券であるため、現実世界の役割ともリンクしており、作者の手腕が光っていると感じました。
このように普段使用しているガジェットが随所に登場しており、芸が細かい設定も本作の魅力の一つです。
③想像力が膨らむ世界観
横浜駅は他府県を覆っています。そのためその土地の地理的特徴までも横浜駅化に反映されています。
例えば山梨県甲府市は盆地のため、横浜駅化した際も複数の階層(階数)に分かれています。
そのため、階層が多いということはぞれだけ土地があり、人が住みやすい状況のため、横浜駅内でも発展している都市の一つとなっています。
横浜駅化された土地がどんな姿になっているのかを想像することもまた本作ならではの楽しみ方です。
作中では本州の限られたエリアしか冒険していませんが、他のエリアは横浜駅化したことでどのように様変わりしているのかぜひ見てみたいですね。
漫画版について
すでに漫画版が発売されています。横浜駅の巨大さや人物の個性が表現されています。小説を読んだ後に漫画を読むとより世界観に没入することができます。
個人的にはぜひアニメ化してほしいです。横浜駅のメガストラクチャー具合がどのように表現されるか観てみたいものですね。



MAPPAさんぜひアニメ制作お願いします!
続編について
続編としては『横浜駅SF 全国版』として発売されています。
ヒロトが冒険する少し前の時期を「京都府」「群馬県」「熊本県」「岩手県」という各都道府県ごとに描かれたアナザーストーリーとなります。
各府県の地理的状況によって、横浜駅の侵食がどのように影響しているかも感じることができ、より『横浜駅SF』の魅力に取り憑かれます。
また各話の登場人物も魅力たっぷりで、柞刈先生は個性的な人物像を描くことが上手だと感心させられました。
ぜひ手に取ってみてください。
柞刈湯葉先生について
作者の柞刈先生は元々大学で分子生物学の研究者として勤務されていていました。『横浜駅SF』も大学で研究する傍で発表された作品です。
大学での分子生物学も『横浜駅SF』を生み出す発想の原点の一つのように思われます。



横浜駅をある種生物のように捉えていることは研究者である作者ならでは!
柞刈先生の他の作品も『横浜駅SF』に負けず劣らずの独特の発想力が生み出す作品があります。
おすすめ作品としては『人間たちの話』です。
こちらは短編SF小説集となります。どの作品も「本当に起こりそう」と思わせてくれる世界が描かれており、特に私は「冬の時代」が好きです。
ぜひこちらも読んでみてください!
まとめ
今回は『横浜駅SF』について紹介しました。
ユニークな設定と圧倒的な世界観をぜひ堪能してください。
本日は以上とします。
また次回の記事でお会いしましょう!













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